本当の保育園

裸足で走り回るこども達を大人が温かい目で見守る空間

0歳から6歳までのこども達が、のびのびと自主性と豊かな感性を育み、安全で安心な建物の中で、裸足で走り回るこども達を大人が温かい目で見守る空間を提供する。

老人ホームが向かいにあり、世代間交流が出来る立地で、地域や文化を学び、「この地域で育ったことに喜びと誇りを感じる」保育園を目指し、地域文化を取り入れた。

エントランスの白木は、だんじりでも使用する木材を使用し、岸和田の「だんじり」という文化の継承と、自然素材によりこども達の感性を刺激する。

 

■各室はこども中心のサイン計画

こども達がどこを見ても一目でわかるこども中心のサイン計画とし、こども達の親しみやすいモチーフで、保育室に入る楽しみを感じ、スムーズな誘導を促す。

こども達の目線に立ち、こどもの身体感覚を十分に考慮したサイン計画である。

■あそびを取り入れた衝突防止計画

わんぱくざかりの幼児が使用する階段には、好奇心をくすぐるようなカラフルフレームに、ミラーを配置し、鏡が自然と視野に入り、衝突防止を促す仕組とする。

■異年齢交流を図る空間

保育室の入り口を全面ガラス戸とし、保育士のの見守りやすさに配慮し、縁側のようなウッドデッキや廊下に各室を繋いで内外空間の一体化や異年齢交流を図りやすい空間とした。

園庭側の広い庇及びウッドデッキは、雨天時に遊べる空間になるだけではなく、保護者用テントを設置する必要がなく、保護者の「日よけ」と同時にウッドデッキが直接座れる「シート替わり」となる。

自然の風や光がいつも身近に有り、季節の移り変わりを五感を通して感じられる空間をして、豊かな感性を育む。

2階は廊下幅を広く取り、こどもの歩幅に合わせ、長い廊下は異年齢のこどもの交流場となる。

また、各保育室を「可動間仕切り」とすることで、いつもの保育室で異年齢交流を図ることもでき、更にお遊戯会や作品展といった行事(イベント)の際には各保育室が一体となって利用できる「可動間仕切り」による可変式建築空間を心がけた。

こどもの触れる部分は木製扉とし、木のぬくもりを感じると共に随所に指詰め防止ストッパーを取り付け、ドアの開閉時にも召し合わせ部で手を挟まないよう戸当りと取り付けている。

開閉部にはこどもが手を挟んでも怪我の無いようゴム製の戸先部とし、施鍵部はこどもの手が届かない高さに設定した、機能的で安全なデザインとした。

■調理室はガラス張りでこども達に「食」に関する興味を高める

一般的には「閉鎖的」な給食室をガラス張りにすることで、給食室(栄養士先生)とのコミュニケーションが広がり、調理の様子や大人のお仕事を幼少期に直接見ることができ、食に関する関心を高める同時に、将来「こんな大人(職業)になりたい」と思う児童もでき、将来に対する「夢」を描くことができるよう設計を工夫した。

■水廻りには円を基調とした安心デザイン

手洗い場は曲線を取り入れたデザインで、こどもの安全を考慮したディティールとし、こどもが水道を囲むように使えることで集中防止と安全に配慮した、機能的・かつ安全なデザインである。

水栓は高い位置にし、蛇口を引っ込めることで押し合った時にも突起物でケガをしない設計とした。

トイレは空間をたっぷり取り、向かい合う個室には1方にRを取り入れた扉無しのパーティションとし、プライバシーを確保しながらスムーズな導線を計画する。

また、便器に座って外を見ると園庭が臨め、こども達が創造性を発揮して自由に遊べる豊かな空間とした。